アップルが中国で商標権「iPad」訴訟で敗訴

iPadの商標権認めず 中国の訴訟で米アップル、現地企業に敗訴

中国メディアによると、米電子機器大手アップルなどが中国国内における多機能端末「iPad(アイパッド)」の商標権所有の確認などを求めていた訴訟で、広東省深セン市の中級人民法院(地裁)は6日までに、同社の訴えを退ける判決を言い渡した。

報道によると、被告となった深センのIT企業は2001年、中国国内で「iPad」を商標登録。アップル側は09年、各国で「iPad」を商標登録していた被告会社と同グループの台湾企業から、3・5万ポンド(約420万円)で全世界の商標権を譲り受けることで合意した。

しかし判決は、商標権の譲渡契約は所有者と結ばなければならないと指摘。台湾企業は被告会社の「代理者」には当たらず、訴えは法的根拠がないと判断した。(共同)

(産経ニュース 2011.12.7 09:37)

中国でアップルは、タブレット端末「iPad(アイパッド)」の商標権がなくなったという実に怖い判決ですね。

中国の調査会社ZDCの調査結果によると、タブレット端末市場のシェアはアップルが68%と圧倒的な強さを誇っているとのことです。1/10の価格の模造品が大量に販売されている中国の実情を考えると、この調査結果をにわかに信じることはできませんが、アップル社は間違いなくスマートフォンやタブレットのリーディングカンパニーですから、この度の判決のダメ―ジは大きいものがあります。

中国広播網の報道によると、iPadがまだ製品化されていない2000年に台湾の機械メーカーが先にiPadの商標権を獲得していたといいます。

その後2006年にアップルがiPadを発売し、2009年にこの台湾企業から約430万円で商標権を全て購入したつもりでいました。

しかし、中国国内での商標は子会社である唯冠科技が保持したままだったといいます。

唯冠科技は現在、倒産の瀬戸際にあるようですが、同社の債務再建を引き受けている会社によると今回の判決を受け、唯冠科技はアップルに対し商標権侵害で100億元(約1200億円)の損害賠償を請求する方針とのことです。尚、アップルはこの件についてコメントを拒否しております。

【商標権譲渡の際に気をつけるべき3つのポイント】

そこで、商標権譲渡の際に気をつけるべきポイントをご紹介します。商標権の譲渡の際には必ず直近の登録原簿を確認するようにして、

  1. 権利がまっとうに存続しているか
  2. 譲渡者が本当の権利者かどうか
  3. 使用権許諾者がいないかどうか
  4. などを調べる必要があります。
  1. 1の確認は、直前で放棄されて、空の商標権を掴まされるのを回避する
  2. 2の確認は、他人に譲渡した元商標権者が、その譲渡を黙ったまま、自分が商標権者かのように登録証(登録証には最新の権利者名が反映されないのでご注意)を証券のようなものだとして商標権を売りつける行為を回避する
  3. 3の確認は、独占排他権である商標権を買い取り、いざ、自分がその商標の独占販売を行おうとした矢先、大手メーカーが使用権者であることが分り、その使用の開始を阻止できないようなことを回避するために行います。

【中国での商標権取得についても気をつけるポイント】

また、中国での商標権取得についても気をつける必要があります。中国で商標権を取得したとしても台湾、香港、マカオでは中国の商標権が及びませんので、別途、商標権を取得しないといけません。無印良品がこれで痛い目を見ておりますし、クレヨンしんちゃんに限っては公式商品がニセモノ扱いされて冒認商標権の取消すらできなかったという教訓があります。中国の模倣者は取得していない側に非があるとして訴訟をかけてきて商標登録の30倍、40倍の費用が応訴に必要となりますから、中国での商品販売は、販売地域を要確認してからの商標権の取得が大切です。

以上、商標権はその商標を使用しなければ価値が生まれませんが、営業努力により有名になりつつある商標や、社名などの商標権は販売地域の確認をして、商標権を隙なく取得する。商標権の譲渡を受ける(買い取る)場合は、登録原簿を確認するなど慎重に行っていきたいですね。

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